図解はソフトウェアエンジニアの必須スキル

ソフトウェアエンジニアにとって、機能設計やコード設計などのテクニカルスキルが必須であるのは当然ですが、それに加えて文書や口頭によるコミュニケーション能力、また最新情報は英語圏のものがほとんどなので英文を読みこなす力も必須スキルのうちに入ります。

これらのスキルは、おおよそのIT企業に入れば研修や実務において指導者から直接指導を受けて身につける機会があると思いますが、それ以外にもっと基礎的であり、現場で必ず求められ、しかも自覚を持って自ら研鑽しないとなかなか身に付かないスキルがあります。

それは、ホワイトボードに絵を描くスキルです。

例えば仕様検討において、チーム内でミーティングする時に、ホワイトボードに向かってラフな仕様を話し合いながらバババッと即行で図で描くことがよくあると思います。あるいは、障害が発生したときにコードやログを解析しながら、問題となっているロジックやモジュール間の関係を図解して解決策を図ったり。そして、それに対応するためのスケジュールと役割分担をホワイトボード上に表などにしてザッと記述したり。開発経験者なら必ずこういった現場に立ち会うと思います。

でも、このホワイトボードに絵を即行で描くことって、出来る人と出来ない人に綺麗に別れるんですよね。出来る人は、文字の巧拙は別としてポイントをきちんと抑えて分かりやすく図解できるし、出来ない人はホワイトボードを前にペンを持ったままモタモタとしてしまい、いざ描いたとしてもポイントがずれて分かりにくかったりします。

そしてこの絵の描き具合によって、問題解決や作業の進み具合が変わることが多々あります。中学校の幾何学の問題において、然るべき部分に接線をビャッと引けると、一発で解答への道筋が見出だせるのと同じ様な感じです。

したがって、このホワイトボードに絵を描くというスキルは、ソフトウェア開発の担当者であれば誰しもが身につけるべきスキルだと思っています。

では、この絵を描くスキルはどのようにして身につけていけばよいのでしょうか。身も蓋もないようですが、こればかりは場数を踏むしかないと思っています。特に決まった描き方はないですし、とにかく自分なりに絵を描くことを繰り返し繰り返し行なってみる。そうして、やがて自分なりの描き方の型が出来て図解するためのコツが分かってきます。実際、私自身がそうでした。

私が某電機メーカーのソフトウェア会社に入った時に最初に付いた上司が、この図解の名手でした。クラス図とかシーケンス図とか、そういった規格化された図ではなく、彼自身の独自の描き方で即行でホワイトボードを埋めて行くその能力には感嘆しました。そして、上司がそうであるが故に、部下である私にも同様な能力を求められました。例えば、緊急のミーティングをするとき、「この件について次の会議までにネタをホワイトボードに書いといて」と指示され、その直後に上司から発せられたミーティング開催のメール通知を見ると、その開催が今から10分後だったり。このようなケースが多々ありました。当初は、「なんて無茶な振り方をするんだろ…」とその都度焦っていましたが、今思うと、それは上司による私への教育的側面があったのかもしれません。そのおかげで、私は図を描くことが難なくできるようになりました。

そうはいっても、世の上司が先ほど述べた私の上司のようなタイプばかりではないと思いますので、各自でホワイトボードに描く機会を作っていくことが必要だと思います。その際に非常に便利なのが、ノート型のホワイトボード「NUboard」です。

CANSAY NUboard A4判

CANSAY NUboard A4判

A4サイズ程のホワイトボードが数枚のノート型になっており、自分の机上に置いていつでも手軽に絵を描いたり図解することができます。なにか分からないことや頭の中で整理したいことがあれば、すぐにこのノート型ホワイトボードを取り出してとりあえず描いてみる。頭の中にうごめいている事象をビジュアル化してみる。つまり、自分でホワイトボードに描く機会を簡単に作り出せるわけです。私もことあるごとにこのホワイトボードを利用していて、今では重宝しています。普通のノートと違い、ホワイトボードなので描いたものを何度でもサクッと綺麗に修正できるので、使い勝手が格段に良いです。

ちなみに、新書版サイズもあります。

CANSAY NUboard 新書判

CANSAY NUboard 新書判

これなどは非常にコンパクト且つ軽量なので、バッグに気軽に入れて携帯しておき、ちょっとしたメモをするときに便利です。新書版ということで当初は微妙なサイズだなと思っていたのですが、実際に使ってみるとこれが絶妙な大きさだと分かりました。もちろん携帯するだけでなく手元に常に置いておき、例えばログ解析をしていて気になる部分(修正すべき処理など)をササッとメモ書きするなど、用途はいくらでもあります。A4サイズと新書サイズ、私は両方を適宜使い分けており、手書きをすることの快適さと愉しさを再発見しました。

何事でもそうですが、自分の能力を変えるには、こういったツールを揃えたりして身の回りの環境を整えるのが手っ取り早いです。